今回はブドウの重要病害「黒とう病」についてご紹介!
鉢植えブドウ栽培のまとめはこの記事をチェック!
うわ!
ブドウの枝葉の様子がおかしい。
なんやこれ!?
あー。
これは「黒とう病」だね。
黒とう病?
黒とう病の症状
雨によって伝搬するブドウの重要病害だよ。
枝葉や果実にこんな病斑が発生する病気だよ。
【葉っぱの初期病斑:葉に黒褐色の斑点が現れ、病斑部に孔があく。】
【葉の病斑:症状が進むと、葉全体に病斑が広がる】
【枝の病斑:新梢に楕円形のへこんだ病斑が現れる。多発すると枝全体が黒変して枯れる。】
【新梢先端部の病斑:多数の病斑により先端の生育が停止する。】
【果実の病斑:黒褐色の病斑が発生する。】
黒とう病とは?
●新梢、若葉、花穂、幼果、巻きひげなど、あらゆる柔らかい緑色の部分に感染・病斑をつくり、生育を妨げる病気。
●雨によって伝搬し、4月~7月(発芽時期から梅雨明け頃)に降雨が多い年は多発する。
※特に4月~5月の連続降雨は発病を助長する。
●感染した枝・巻きひげにて越冬。翌年の感染源となる。
●欧州系品種は一般的に被害を受けやすいため、より注意が必要。
黒とう病に感染しないためには
「雨にあてない」これが一番!
だって、黒とう病は雨によって伝搬するからね。雨に当たらなければ病気のリスクはほとんどないんだ。
【地植え栽培の場合、雨よけ栽培は簡単ではありません。ビニールハウスなどを建設する必要があります。】
【鉢植え栽培でコンパクトに栽培していれば、雨よけ栽培は比較的簡単です。】
でも、雨除け栽培といっても実践するのは大変だよね。
雨よけ栽培が難しい場合はこまめな薬剤散布が大切!
黒とう病の予防は重点防除期を押さえることが重要だよ!
黒とう病の重点防除期
①萌芽直後
②新梢新長期
③開花期
④小豆粒期
⑤袋掛け直前
⑥袋掛け後~梅雨期
「芽が出始めてから梅雨明けまでの感染期」に防除を徹底し、感染させないことが極めて大切。
なぜなら、
「一度感染してしまった部位を元の状態に戻すことはできない」から。
とにかく予防が果樹栽培の基本!
参考までに露地栽培シャインマスカットでの薬剤散布例の動画を載せておくね。
こんなに薬剤散布しないといけないんか・・・
これは黒とう病に弱い「シャインマスカット」を露地栽培する場合の参考防除だから、黒とう病に比較的強い品種なら、もう少し薬剤散布の回数を減らせるかも。
でも、ブドウを露地栽培するのであれば、このくらいの薬剤散布は覚悟しないと、いい房は収穫できないよ!
薬剤散布が難しい場合は、
「鉢植えでコンパクトに木を育成、ベランダや軒下などの雨が当たりにくい場所で栽培する」のがお手軽でいいかも。
【あくまでも薬剤散布の一例です。木の状態や周辺環境によって薬剤の選定は変更してください。】
【2022年の登録情報をもとにしたものです。薬剤散布をされる際は最新の農薬登録情報をご確認ください。】
黒とう病に感染したら
予防が大切なのは分かったが、もう感染してしまったときはどうすれば?
まずは、感染している枝葉を切除することが大切!
感染部位が次の感染源となり、木全体に病気が蔓延してしまうからね。
ここで重要なのは、
切除した枝葉は必ず園地(ブドウの木)から離れた場所で処分すること!
切除した枝葉を園地の地面に投げておくと、結局、感染源となってしまうからね。
【病気になった枝葉は感染源となるため、切除し、園地から離れた場所で処分する。】
発病した枝葉を処分したら、急いで薬剤散布をしよう!
発生時期・地域によって、どの薬剤を使用するかは変わってくるから、「この薬剤を使用しておけば間違いない!」というのは少し言いにくいね。
あくまでも参考程度だけど、個人的には「オンリーワンフロアブル」を使ったりすることが多いかなぁ。
【あくまでも薬剤散布の一例です。木の状態や周辺環境によって薬剤の選定は変更してください。】
【2022年の登録情報をもとにしたものです。薬剤散布をされる際は最新の農薬登録情報をご確認ください。】
黒とう病の怖いところ
黒とう病の恐ろしいところは、
「感染した枝や巻きひげ」で病原菌が越冬。翌年の感染源となるところ。
つまり、感染した枝は翌年以降の栽培では活用することができないってこと。
放っておくと、木全体に病気が蔓延して、木そのものをダメにしてしまうんだ。
特に木の骨格を作っている若木の時に感染してしまうと致命傷になるよ。
あとは萌芽期に感染してしまうと、その芽から伸びた部位は軒並み感染していくから、とにかく木が若い時、枝葉が若い時に感染すると被害が甚大になるね。
黒とう病。
恐ろしい病気やな。
ということで今回はブドウの重要病害「黒とう病」についてご紹介しました。
鉢植えブドウ栽培のまとめはこの記事をチェック!